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まちづくりデジタルコラム


都市は生きており、絶えず活動を続けて変化していきます。その都市に適した個性的なまちづくりを進めるために、各地でローカルルールを制定する動きが活発になっています。
これらの動きを追いながら、まちづくりのあり方、進め方について考えます。

中心市街地は依然として元気がありません。その中で街を活性化するためいろいろな地域でいろいろな試みが行われています。
このコーナーでは、各地のホームページを覗きながら街づくりの試みを勉強したいと思います。


東京と云う街(3)
「住宅ストックと世帯数」について
衣食住は、人が生きていく上で最も基本的な条件となるものですが、これらについて不安が無い社会は、住みやすく、安定した良い社会といえると思います。
所が昨年末には、世界同時不況のあおりで解雇とともに社宅から出て行かなければならない人たちがニュースになり、改めて住宅問題がクローズアップされた感じになりました。
東京都における住宅ストックと世帯数について、昭和33年からの統計を見てみると、次のようになっています。(住宅・土地統計調査 総務省 5年毎の調査です。)
昭和33年当時は、住宅数182.4万戸に対して世帯数は196.9万世帯と住宅が不足しており、その比率は0.93でした。
世帯数は増え続けていきますが、それを上回る勢いで住宅戸数が増えていたため、両者のギャップが少しずつ小さくなって来て、昭和43年には0.99になりました。
この傾向が逆転して、昭和48年からは住宅総数が世帯数を上回る状態となり、その比率も少しずつ高くなってきています。
こうして、統計値としては最も新しい平成15年時点では、比率は1.13となり、住宅総数は世帯総数を69.9万戸上回っています。量的には住宅は充分に余裕ある状態になっている筈です。
これを住宅の状況で見てみると、居住世帯のいない住宅数が、昭和48年ごろから急速に増えて来ています。そして平成15年には、居住世帯のいない住宅数が75.2万戸となっており、そのうちの空家は66.5万戸となっています。
このように、全体としては住宅が余っており、大量の空き家がある豊かな社会になっている筈なのに、どうして昨年末のような問題が出て来るのか。メカニズムの解明と需給を結びつける有効な仕組みづくりが必要な気がしています。
(2009.6.2)

東京と云う街(2)
「みちづくりアウトカムプラン」について
アウトプットからアウトカムへ施策や事業の評価の仕方を変える必要があると言われるようになってから暫らく経ちますが、道路環境について東京都道路協議会(東京都、国土交通省、高速道路会社で構成)が平成15年から「みちづくりアウトカムプラン」を策定し、毎年公表している事を知りました。
平成18年の内容をみると指標は12あり、「目標1.都市を再生し、活力を与えるみちづくり」として平均旅行速度など4指標、「目標2.沿道環境を改善するみちづくり」としてNO2・SPM環境基準達成率など3指標、「目標3.安心・安全・生活のみちづくり」として歩道のバリアフリー率など5指標が挙げられています。
それぞれの指標に関して年度末目標と中期目標とが定められており、毎年達成度を測定して公表しています。平成19年度でみると12指標のうち4指標で達成された事になっています。このように客観的な数値で示されると状況がよく理解できます。
(2009.5.1)

東京と云う街
最近、久し振りに東京の都市構造・都市環境の動向について、眺める機会がありました。ここ10年ほどの間にも、街は絶え間なく変化しています。その中で、興味を覚えたトピックスを取り上げて行きたいと思います。

緑の広域構造について
東京都では、大規模な公園・緑地の配置をそれだけで終わらせなくて、河川、海、山林などと一体的にとらえて、全体でひとまとまりの緑の広域構造を形成しようとしています。最近では、これに景観の構造も加えていますが、このような視点で捉えるようになってから既に30年以上にはなろうかと思います。
東京は昭和40年代から、隣接県を含めた一体的な大都市地域を形成していますが、東京圏レベルでの緑の広域構造はまだ検討されていないようです。そのため八都県市首脳会議でも「新たな緑の創出によって既存の緑をつなぐなど、広域的な緑のネットワークづくりを目指します」と言う「緑の保全及び創出に関するアピール<緑豊かな首都圏の創造をめざして>」(平成15年11月)を公表しています。
例外的に、早くからこのような視点を持っていたのは横浜市で、中心部を取り囲む郊外部の丘陵地等緑の7大拠点をネットワークした広域構造を緑の政策として位置づけています。
(2009.4.3)

まちづくりNPOの状況
まちづくりが官主導だった時代に比べて、現在は随分市民の活動する場面が増えてきているのは日常的に感じますが、まちづくりに関わるNPO団体はどれ位あるのだろうかとふと考えました。
そこで東京都庁のホームページでどんな状況なのか眺めてみました。まちづくりは極めてローカル色の強い活動なので、まずは東京都認証分を見てみる事にしました。
NPOの認証は平成11年から始まっているのですが、平成21年1月31日までに、東京都が認証したNPO団体の数は、合計で6,124団体あります。この内まちづくりを目的にしている団体は1,893団体です。全体のおよそ30%を占めています。
設立の年度をみると初年度の平成11年は、70団体が認証されていますが、その後徐々に数が増え、平成15年にピークを向え288団体が認証されています。その後は漸減傾向にはありますが、それでも平成20年に認証団体は153になっています。
本拠地別に見ると、区部が約7割、市郡部が約3割です。居住人口の割合に近いといえます。これだけの団体つまりは市民がまちづくりに関わっている事に、大変なエネルギーを感じます。
(2009.3.2)

都心3区の動き(3)
前回は、事業所・企業統計調査で平成13年から平成18年の間に港区で従業者が急増している要因を探りましたが、その結果、情報を中心として関連する専門サービス業を含めた産業コンプレックスが形成されつつある印象を受けることを見ました。
今回は、都心3区の中で余り勢いが見られない中央区に焦点を当ててみたいと思います。
中央区では、従業者が減少している産業をみると、最も減少が著しいのが、卸売小売業の△7,318人で、次いで、建設業の△3,684人、飲食店宿泊業の△3,547人が続いています。中央区といえば、大手の総合商社を始めとする商社機能が集積している地域を想像します。卸売小売業の従業者の減少は何を意味しているのでしょうか。
卸売小売業の内容を産業中分類でやや詳細に見てみると、次のような特性がありました。まず、卸売と小売に分けると、小売では全体で増加しており、小売業6部門のうちの5部門で従業者は増加しています。唯一減少しているのは各種商品小売業です。一方の卸売業では6部門全てで従業者は減少しています。特に減少が著しいのは、飲食料品卸売業の△2,523人、繊維・衣服等卸売業の△2,501人です。国民生活の中での食生活の変化、ファッション産業の動向など流通構造の変化が背景にありそうな感じがします。
(2009.2.2)

都心3区の動き(2)
前回は、都心3区について事業所・企業統計調査で平成13年から平成18年の動きを見ましたが、この期間に3区合計で従業者が6%程の増加になっており、中でも大幅に増加したのは港区でした。企業産業別で最も増加している分野は、情報通信業がダントツで、次いで、サービス業(他に分類されないもの)ですが、いずれも港区での増加著しいものがありました。少し詳しく中分類でみると、港区の情報通信業の中で最も増加したのは情報サービス業(26,816人)で、通信業(10,112人)がこれに次いでいます。
また、サービス業(他に分類されないもの)の中では、その他の事業サービス業(6,027人)(ワープロ入力、ビルメンテナンス、警備など)が最も多く増加しており、広告業(4,407人)、専門サービス業(他に分類されないもの)(3,375人)(法律事務所、特許事務所、公認会計士事務所など)がこれに次いでいます。
これらを眺めていると、港区ではITを核とした新しい産業コンプレックスが形成されつつあるような印象を受けます。
(2009.1.5)

都心3区の動き
「東京圏のゆくえ」(3)で、これまで減少を続けてきた都心3区で就業人口が平成12年から平成17年の間に増加に転じた事、3区のうち港区が大幅増、千代田区がほぼ横ばい、中央区が減少と区によって動きが違う事を見ました。
今回はこの動きをもう少し掘り下げてみたいと思い、都心3区について事業所・企業統計調査で平成13年から平成18年の動きを総数と企業産業大分類で見てみました。
主な特徴は次の通りです。従業者総数では、この調査でも3区合計で6%程の増加になっており、中でも大幅増は港区である点は国勢調査と同じですが、千代田区では減少、中央区では増加となっている点が違っています。企業産業別にみると、最も増加しているのは、容易に想像出来るように、情報通信業でダントツです。情報通信業は3区とも増加していますが、特に港区での増加が著しく、3区増加分の中の67%を占めています。
これに次いで増加しているのは、サービス業(他に分類されないもの)*、その次が金融保険業となっています。
*サービス業(他に分類されないもの):専門サービス業、学術開発研究機関、洗濯理容美容浴場業、広告業 等
一方、3区の合計で減少数が大きいのは、1)建設業、2)卸売小売業、3)飲食店宿泊業、4)製造業の順になっています。
(2008.12.2)

東京圏のゆくえ(10)
前回まで中核都市立川市の状況を見てきましたが、締め括りとして多摩の4つの中核都市を比較してみます。
まず、平成17年の状況ですが、従業地における職業の構成について4都市平均に対する特化の状況でみると次のような点が特徴的です。立川は、専門的技術的職業の特化度合が4市の中で最も低く、一方保安職業従事者、販売従事者に特化しています。武蔵野市は、専門的技術的職業、管理的職業に最も特化しており、現業的な職業への特化度は低くなっています。町田市は、農林漁業従事者の特化係数が高いですが、それ以外では八王子市とともに平均的な構成となっています。
これら4市の平成12年からの増減では、総数で増加したのが町田市と立川市で、減少したのは八王子市と武蔵野市となっており、2つのグループに分かれています。増加した市の特徴的な点は、町田市ではサービス職業従事者と専門的技術的職業で大幅増となっており、立川市では前回も見たようにサービス職業従事者と販売従事者が増加しています。
一方の減少都市では、武蔵野市では、販売従事者が大幅減、八王子市では、サービス職業従事者、生産工程労務作業者と販売従事者が大幅減となっており、八王子市は総数でも大幅減となっています。
以上の点だけから見ても、4都市の性格、勢いの違いが読み取れるように思います。
(2008.11.11)

東京圏のゆくえ(9)
もう少し中核都市としての立川市の状況を見てみます。
全体的には僅かながら多核多圏域構造の形成へ向いている状況を前回見ましたが、従業地における職業は前回の国勢調査に比べてどのように変化しているかを見てみたいと思います。
リチャード・フロリダは、これからの都市間競争における競争力の基盤は知識創造にあるとして、クリエイティブ階級の重要性を示唆しています。職業についての彼の分類は次の通りです。aスーパークリエイティブ・コア、bクリエイティブプロフェッショナル、cワーキングクラス、dサービスクラス、e農林漁業。
この分類を意識しながら、従業地としての立川市では中枢性は高まっているか、創造性は高まっているかを平成12年から平成17年の間の職業構成の変化を通して見ようとするものです。
まず、総数については約5,000人、率にして4.70%の増加となっており、全体としての集積は拡大しています。分類内訳で見ると減少しているのは1つだけで、それ以外は全て増加となっています。唯一減少している職業は、管理的職業で、しかも減少率は△24.0%と言う大きなものです。
一方、増加数及び増加率が高いのは次のようなものです。(分類不能を除く)(1)サービス職業従事者2,285人(17.4%)、(2)販売従事者1,616人(7.3%)、(3)事務従事者936人(4.0%)、(4)専門的技術的職業255人(1.8%)
以上からどんな事が解釈できるのでしょうか。
* 集積の規模は拡大している。
* 集積拡大を支えているのは、サービス職業従事者・販売従事者・事務従事者の現業的な部門である。
* 管理的職業の大幅な落ち込みは何を意味しているのか。支店・出張所経済化を意味しているのだろうか。
* 専門的技術的職業の増加は、スーパークリエイティブ階級の成長と期待してよいのか。
これらの数字はどのような実態を示しているのでしょうか。
(2008.10.1)

東京圏のゆくえ(8)
平成17年度の国勢調査で、もう少し立川市の状況を見てみます。
全体的には僅かながら多核多圏域構造の形成へ向いているのを前回見ましたが、常住地・従業地の産業・職業ではどんな特徴が表われているかが今回のテーマです。
立川市では、ここを職場とする就業者(従業地就業者)がここに居住している就業者(常住地就業者)を上回っており、その差(流入超過)は平成17年で20,952人となっていました。
流入超過の内容を、まず産業別にみると多い方から次のような順になっています。
(1)卸売小売業 6,207人、(2)サービス業(他に分類されない) 4,331人、(3)金融保険業 2,797人となっており、商業・金融・サービスで周辺から就業者を吸引している状態が明瞭に示されています。一方、流出超過をしている産業は1つだけで、建設業の△3,377人でした。
職業別にみると次の順です。(1)販売従事者 7,950人、(2)事務従事者 4,969人、(3)サービス職業従事者 3,052人となっており、こちらも都市の性格を別の角度から示していると言えます。流出超過となっている職業はありません。
立川市はこれまで商業都市として発達して来ており、これからは多機能化が必要だと言われています。そのような傾向をこれらの数字は示しているのでしょうか。
(2008.9.2)

東京圏のゆくえ(7)
平成17年度の国勢調査の結果によると、多摩地域の就業者数は全体としては減少傾向にありますが、30市町村のうちのおよそ1/3の9市町では増加傾向にありました
今回はこの増加市町の中で、何彼と話題に上る立川市の状況を見てみます。
イメージとしては次のようなものを考えています。立川市の就業者数が増加して来て、それに伴い立地機能が多様化し、周辺地域での中心性を高めて、東京大都市地域の中で、1つの圏域を構成すると言う、かっての首都圏計画で位置づけられていた多核多圏域構造の形成へ向っているのだろうかと云うものです。
立川市の就業者数は、平成12年から平成17年までの5年間で4.93%の増加がありました。これら就業者の居住地は、広い範囲に亘っていますが、総数の1%以上の就業者が居住する区域に限ると、立川市と19の区市町(これを仮に「影響圏」と呼びます。)となります。
立川市内に居住する就業者の増加率は5.47%で、全体の増加率よりも少し高くなっています。僅かながらの職住近接の増加です。影響圏の増加率は5.14%でこれも全体よりも少し高くなっています。なお、増加寄与率(全体の増加数の中での割合)で見ると、立川市が39.37%、影響圏が47.91%となっており、影響圏の方がやや値が高くなっています。
いずれも、数値の差が極く僅かなので、断定は出来ないとしても、全体的には多核多圏域構造の形成へ向いているとは言えそうです。
(2008.8.4)

東京圏のゆくえ(6)
平成17年度の国勢調査の結果によると、東京都区部で平成12〜17年の間に就業人口が増加しているのは僅かに3区だと言う事を前回は見てきました。
今回は、多摩地域でどうなっているかを見てみたいと思います。
多摩地域には30の市町村がありますが、容易に予想されるように全体としては減少傾向にあります。
内訳を見ると、増加したのはおよそ1/3の9市町であり、減少したのは21市町村でした。
最も増加の割合が高かったのは、町田市で、以下、高い順に並べると、多摩市、日の出町、立川市、東大和市、瑞穂町、羽村市、あきる野市、昭島市、西東京市と続き、ここまでが増加した市町です。
これを見ると、増加した市町は、かって東京圏が急速に拡大していた時期のスプロール最前線に位置しており、環境整備がもっとも立ち遅れていると言われていた30〜40Km圏のゾーンが主になっているように見えます。
何か広域構造の中で就業-居住関係の新しい動きが内在しているのでしょうか。
(2008.7.2)

東京圏のゆくえ(5)
平成17年度の国勢調査の結果によると、東京圏の就業人口はますます減少し、その要因が東京都区部の大幅な減少である事、その一方で都心3区では増加に転じていますが、内訳を見ると千代田区では横ばい、中央区では減少、港区では大幅増である事を前回は見ました。
そこで、今回は対象を拡大して23区の動向を見る事にしました。
平成12年から平成17年にかけて、就業者は区部全体で大幅に減少しているのですから、大多数の区で減少傾向にあることは、容易に想像できます。実際、この期間に就業者数が増加していたのは、僅かに3区でした。千代田区(増加実数1,412人)と港区(41,804人)で増加傾向にあるのは、前回見た訳ですが、もう1つの区は江東区(3,544人)でした。江東区について確認している訳ではありませんが、臨海部の開発に伴う就業機会の増加なのではないかと想像されます。
上記3区以外は全て減少です。増減比を見ると殆どの区で大きな落ち込みはなく、0.900以上の水準になっています。(区部全体では、0.957)
所が、0.900以下の大幅な減少傾向を示している区が2区ありました。中野区(0.765)と練馬区(0.894)です。いずれも住宅地としてのイメージが強い区ですが、生活サービス系の就業機会が大きく減少しているのでしょうか。
(2008.6.4)

東京圏のゆくえ(4)
平成17年度の国勢調査の結果によると、東京圏の就業人口は前回平成12年に引き続き減少しており、しかも減少幅は一層大きくなって来ています。これは東京都区部における大幅な減少が要因になっています。
長年に亘って言われてきた東京都心への一極集中は、特に千代田区、中央区、港区のいわゆる都心3区に見られる現象でした。そのため都心3区の動向はどうか気になる所ですが、近年次のように推移しています。
まず、平成7年の国勢調査で区部よりも5年早く就業人口が減少に転じており、引き続き平成12年にも減少しています。これらの減少傾向は、千代田区、中央区、港区の3区に共通に見られています。
所が、平成17年度の国勢調査では、都心3区は増加に転じています。どうやら都心の内部構造が変化しているようです。中央区では相変わらずの減少傾向を示しているのですが、千代田区では僅かに増加に転じ、港区では大幅な増加に転じており、その結果3区の合計が増加に転じているのです。
区部で減少し、都心3区で増加という事は、区部内での集中化が起こっている事を意味しますし、都心3区の内部構造の変化は産業構造の変化の反映でしょうから、その要因に興味が持たれる所です。
(2008.5.1)

東京圏のゆくえ(3)
平成17年度の国勢調査の結果によると、東京圏の就業人口は前回平成12年に引き続き減少しており、しかも減少幅は一層大きくなって来ています。これは東京都区部における大幅な減少が要因になっています。
長年に亘って東京都心への一極集中構造とそれに伴う職住の遠隔化に対する批判があった訳ですが、東京都区部の就業者数激減と言う事態になって一極集中は緩和して来ているのでしょうか。
今回は、この点について従業地・常住地就業者比率で見てみます。
下の図は、昭和30年以降の従業地・常住地就業者比率の推移を見たもので、ここから次のような点が読み取れます。
まず、東京都区部は、昭和30年の1.11からスタートして徐々に値を高め、つまり一極集中化を促進してきたのですが、平成2年以降は1.60を上回って高い水準ですが、近年はほぼ横ばいで、これ以上上向く気配は当然の事ながらありません。
一方の隣接3県では、昭和30年当時いずれも0.90以上、東京都市郡部でも0.86とバランスのとれた状況だったのですが、近年いずれも0.80前後の値を示しており、この状態が急激に変化する兆しは伺えません。
どうやら一服状態と云う感じがします。東京圏全体が完全にフラット化するのは有り得ない事ですが、次回の国勢調査ではどのようになっているのでしょうか。

(2008.4.1)

東京圏のゆくえ(2)
前回は平成17年度の国勢調査の結果をもとに、東京圏の常住人口の動向について見ましたが、今回は東京圏の就業構造の動向について見てみましょう。
東京圏の常住人口が、戦後一貫して増加を続けて来ているのに対して、就業者のほうは、前回平成12年には、戦後初めて東京圏で減少傾向に転じていたのでした。東京圏全体で19万5千人の減少を招いたのは、東京都区部での27万5千人の大幅減少が他県の動向を飲み込んだ事による結果でした。
この状況がどう変わったのか、大変注目される所でしたが、結果は、更に大幅な減少と言う結果になっています。東京圏全体では、21万8千人の減少と、減少の規模は更に大きくなっており、その1番の原因はやはり東京都区部で、29万9千人の減少によるもので、やはり前回よりも減少数は拡大しています。
このように、主として東京都区部で大幅に就業者数が減少を続けているために、長い間言われ続けていた一極集中現象は緩和の方向に向っています。昭和30年に東京圏全体の就業者の49.7%が東京都区部で占められていた構成比は、昭和35年に54.2%とピークを迎えて東京圏全体の半分以上を占める事になります。これ以降は、少しずつ一貫して構成比を下げてきており、今回は39.9%と過去最低を記録しています。
(2008.2.29)

東京圏のゆくえ(1)
平成17年度の国政調査結果が順次公表されて来ており、近年の東京圏(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県の1都3県)の新しい動きについて知る事が出来ます。
今回は、東京圏の常住人口の動きについて、見てみましょう。
平成17年の東京圏の人口は、3,448万人となっており、前回平成12年からの5年間で、110万人増加しています。わが国総人口が減少傾向に入る直前の時期にあたる訳ですが、平成7〜12年の増加数84万人よりも、更に増加数は大きくなっており、東京圏への人口集中化の傾向が拍車を駆けていることが示されています。
しかも増加傾向は1都3県の全てで見られています。東京都では、区部も市郡部も増加傾向にあります。
従来から、3県と東京都市郡部は、ほぼ同様な増加傾向を示していましたが、東京都区部だけは、他と異なった動きを示していたものでした。
東京都区部では、昭和45年から人口が減少を始め、途中横ばい状態の1期間を挟んで、平成7年まで30年間人口が減少を続けていました。この30年間については、都市機能の一極集中化、職住の遠隔化、等の弊害が指摘され、区部の、特に都心・都心周辺区への住宅供給の必要性が叫ばれ、さまざまな施策が講じられて来ました。平成12年に東京都区部人口が増加に転じた時、久し振りに明るい話題になったものでした。
今回は、前回に比べて増加人口は更に多くなっており、また東京圏内での増加寄与率で見ても東京都区部が最も高くなっており、区部への人口回帰の傾向は確かなものになっていると言えそうです。
これで、昼と夜のバランスが回復に向っていれば、大変結構なのですが、実態はそれ程単純ではなく、より詳細な分析が必要なようです。
(2008.2.6)

二宮 公雄

二宮都市研究所
代表

1.住民によるまちづくりプラン
 ○津久井湖周辺地域まちづくり委員会
 ○写真集「わが町 中野」
 ○“ゆうきプラン”
 ○津久井湖周遊歩道計画

池田 利道

株式会社リダンプランニング
代表取締役

まちづくりビジネス・ファイル

1.中心市街地活性化を考えるもう一つの手法
(1) 商店街が元気を無くした15の要因
(2) キーワードは『コミュニティビジネス』
(3) 起業化へのソフトランディング

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