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まちづくりデジタルコラム(2006年分)


都市は生きており、絶えず活動を続けて変化していきます。その都市に適した個性的なまちづくりを進めるために、各地でローカルルールを制定する動きが活発になっています。
これらの動きを追いながら、まちづくりのあり方、進め方について考えます。

中心市街地は依然として元気がありません。その中で街を活性化するためいろいろな地域でいろいろな試みが行われています。
このコーナーでは、各地のホームページを覗きながら街づくりの試みを勉強したいと思います。


「自治体と大型店舗との協定」
中心市街地活性化のため一連の法制度の改定が行われて、中心市街地活性化についての議論が一段落した感じですが、これで果して現実の中心市街地の活性化が地域の人々が望む方向に進むのか、本当に活性化にとって大切なことがカバーされているのか、いくつもの懸念があります。
そんな時、自治体と大型店舗とで中心市街地への影響に配慮する協定を結んだというニュースが目に入りました。
鳥取市とイオン株式会社との間で今年8月29日に結ばれた協定です。
その目的は、「郊外型大型商業施設の立地にあたっては、中心市街地への影響に配慮することが必要です。イオン株式会社が、ジャスコ鳥取北ショッピングセンターを増床するにあたって、鳥取市としては、中心市街地とその周辺地域とが調和した関係で発展することが必要であることから、協定の締結を申し入れたものです。」とあります。
対象となっているのは、郊外の区画整理施行区域に立地している店舗であり、協定の内容は5点となっています。
(1)雇用に関する事項: 市内からの雇用に最大限便宜を図る。
(2)景観・周辺環境への配慮: 景観・防犯・交通・環境への配慮。
(3)店舗運営等に関する事項: 地元産品の取引・需要拡大、施設整備への県内産資材、地元業者の活用、災害時の市民の安全確保への協力。
(4)撤退時の対応に関する事項: 十分な情報提供、跡地利用・閉鎖店舗の管理の適正化。
(5)経済活性化の取組みについて: 市・事業者・商工会議所の協議、サポート、同事業者の駅直近店舗の機能向上と魅力アップ。
協定の内容を見ると、活性化のために必要とされているのは、再開発や道路整備などよりはむしろ、もっと別の所にあると地域では捉えているのがよく分かるような気がします。


「中心市街地の活性化を図るための基本的な方針」
「中心市街地の活性化を図るための基本的な方針」が平成18年9月8日に閣議決定されました。
その内容は、中心市街地活性化本部のページで見る事が出来ますが、11章からなっており、各章のタイトルは以下の通りです。
第1章 中心市街地の活性化の意義及び目標に関する事項
第2章 中心市街地の活性化のために政府が実施すべき施策に関する基本的な方針
第3章 中心市街地の位置及び区域に関する基本的な事項
第4章 中心市街地における土地区画整理事業、市街地再開発事業、道路、公園、駐車場等の公共の用に供する施設の整備その他の市街地の整備改善のための事業に関する基本的な事項
第5章 中心市街地における都市福利施設を整備する事業に関する基本的な事項
第6章 公営住宅等を整備する事業、中心市街地共同住宅供給事業その他の中心市街地における住宅の供給のための事業及び当該事業と一体として行う居住環境の向上のための事業に関する基本的な事項
第7章 中小小売商業高度化事業、特定商業施設等整備事業その他の中心市街地における商業の活性化のための事業及び措置に関する基本的な事項
第8章 第4章から第7章までの事業及び措置と一体的に推進する次に掲げる事業に関する基本的な事項
第9章 第4章から第8章までの事業及び措置の総合的かつ一体的推進に関する基本的な事項
第10章 中心市街地における都市機能の集積の促進を図るための措置に関する基本的な事項
第11章 その他中心市街地の活性化に関する重要な事項

以上のような内容になっています。これまで中心市街地の活力がなくなって来ている原因に関しては、さまざまな調査結果が出され、議論が行われて来ています。
果してこの方針で中心市街地は活性化するのか、地域自治・分権と国の方針、活力を生み出すダイナミックスの源泉、近年云われている団体・組織・文化活動等のソフトな社会資本との関係など原点に立ち返って地域適合的な戦略を立てて取り組むことが重要だと思われます。


「『中心市街地の活性化に関する法律』施行」
「中心市街地の活性化に関する法律」が平成18年8月22日に施行され、この改正法の施行に伴い、内閣官房に中心市街地活性化本部事務局が、内閣府大臣官房に中心市街地活性化担当室が、それぞれ設置されました。両部局の所掌事務は以下のとおりです。
 内閣官房中心市街地活性化本部事務局 :中心市街地活性化本部に関する事務  内閣府大臣官房中心市街地活性化担当室  :基本計画の認定に関する事務
これにあわせ、官邸HPに、中心市街地活性化本部のページを開設いたしました。
 今後、中心市街地活性化本部会合の開催状況や基本方針等の決定等については、中心市街地活性化本部のページに情報を掲載してまいりますので、ぜひご覧ください。

以上のようなお知らせがホームページ上に掲示されており、いよいよ新しい枠組みの中での中心市街地活性化が始まることになります。
8月29日現在、中心市街地活性化本部のページの内容は、□根拠、□関係法令等、□メール相談となっています。


「大型店の地域貢献活動について」
前回、「福島県商業まちづくり基本方針について」の内容を見ましたが、7月4日の朝日新聞一面では、「女性の再雇用・働く人に託児所」という見出しで、同じ条例に基づく「地域貢献活動ガイドライン」が取り上げられていました。
このガイドラインは6月30日に決定・公表されています。地域貢献活動は個々の大型店が出店するに際して企業の社会的責任を果たすために、独自に判断して実施するものですが、その際に期待される項目・内容として以下のように12の例が示されています。
  1 交通対策の実施
  2 地域づくりへの取組みへの協力
  3 地産地消の推進
  4 地域雇用確保への協力
  5 少子高齢化対策
  6 災害等発生時及び地域防災への協力
  7 防犯・青少年非行防止対策の推進
  8 環境対策
  9 景観形成、街並みづくりへの協力
 10 撤退時の対策
 11 教育訓練への協力
 12 地域貢献活動担当部署等の設置
ローカル・ルールによって、大型店の立地を地域適合的なものに誘導しようとする動きは、いくつかの自治体で見られています。
熊本県では、「大型店の立地に関するガイドライン〜大型店による主体的な地域貢献の促進」が昨平成17年12月26日に施行されており、このガイドラインの中で別記として「大型店に求める具体的な地域貢献策」として「1 地域づくりの取組みへの協力」等14項目が挙げられています。


「福島県商業まちづくり基本方針について」(答申)
国によるまちづくり3法の改正に先立って、大型店舗の立地誘導や広域調整の仕組みを盛り込んだ条例で注目を浴びた福島県で、6月23日に「福島県商業まちづくり基本方針について」(答申)が福島県商業まちづくり審議会から答申されました。
この答申は条例第6条の規定に基づくものであり、特定小売商業施設の立地誘導および抑制の方向が明確に打ち出されているのが注目されます。
まず立地誘導については、各種計画・商業系用途の指定で方針が定まっており、商業・人口の集積があり、交通条件が整っている市町村への立地を促進するものとして、その中の商業系地域へ優先順位にもとづいて立地を促進することにしています。
立地抑制については、市街化調整区域、市街化の見通しが明確でない地域、集団性の高い優良な農地、景観・自然環境・水環境に配慮すべき地域等7種類の地域が挙げられています。
街づくりの分権化・市民化が進む中で、マスタープランの新しい役割が芽生えつつあるのを感じます。


「まちづくり3法の見直しについて」(7)〜中心市街地活性化法の成立〜
中心市街地活性化法は、5月31日に参議院で可決され成立しました。
これに先立つ4月21日に衆議院経済産業委員会で、この法案が審議可決されたのですが、採決後付帯決議が付けられています。自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三派共同提案で、以下の通りですが、その中にコンパクトなまちづくりが顔を覗かせています。

 中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律の一部を改正する等の法律案に対する附帯決議

  平成十年の「まちづくり三法」の制定以降の状況変化を踏まえ、全国の中心市街地が、地域における社会的、経済的及び文化的活動の拠点として、住民にとって住みやすく、かつ、にぎわいあふれる「まち」として真に活性化することが求められていることに鑑み、政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じるべきである。

 一 施策の実施に当たっては、商業の振興やインフラ整備のみにとどまらず、交通体系や生活環境整備等を含めた総合的な取組みが実現できるよう、中心市街地活性化本部に十分な体制を構築し、関係府省が一体となって活性化策を実施すること。

 二 基本計画の認定基準の作成に当たっては第三者の意見を聞くことなどに努め、できる限り早期に具体化し公表すること。また、計画の認定に当たっては、プロセスの客観性、透明性を確保するとともに、計画実施に当たり適切なフォローアップにも配慮すること。

 三 従来の施策を厳格に点検・評価し、真に効果のある中心市街地活性化策の実施に注力していくとともに、今後の事業予算の効率的な執行に努めること。その際、それぞれ固有の課題を抱え、それに応じた対応策を必要とする全国の中心市街地に対し、各地の取組みの実例等、幅広い情報の提供に努めるとともに、可能な限り多くの支援の機会が与えられるよう留意すること。

 四 画一的にならず、地域の特性を最大限尊重したまちづくりを実現するため、「中心市街地活性化協議会」に住民の代表をまじえるなど、まちづくりに幅広い関係者の参画を確保するよう促すこととし、企画力や指導力に優れたリーダーのみならず、地域のまちづくり能力向上に資する多様な人材の発掘・育成を促進するための適切な支援措置を講じること。

 五 コンパクトなまちの形成を目指した新しいまちづくりの理念を実現するため、中心市街地活性化策と都市計画等におけるゾーニングとの運用面での整合性を図るとともに、地域の協力体制を確保するため、広く関係者の理解が得られるよう、十分な説明責任を果たすこと。

 六 改正後の法律第六条の「事業者の責務」を具体化する観点から、地権者が空き店舗対策などまちづくりに積極的に協力するよう求めること。また、地域の事業者が、退店・撤退時の対応などについて、自らの社会的責任の一環として自主的に取り組むよう求めること。


「まちづくり3法の見直しについて」(6)〜都市計画法案の国会審議〜
都市計画法の改正案は、5月24日に参議院で可決され成立しました。
既にこのコラムで取り上げたように、改正法にはいくつか心配な点があります。そんなことに関して、衆議院国土交通委員会では、4月11日に日本共産党、社会民主党・市民連合から以下のような修正案が出されましたが、否決されています。
「法案では、近年、都市の無秩序な拡散が進み、中心市街地の空洞化のみならず、高齢者等が病院等の公共公益施設に歩いて行くことができなくなることや公共投資の非効率性、環境負荷の増大などの問題が生じていることから、今後、都市機能を集約したコンパクトなまちづくりを進めるため、大規模集客施設や公共公益施設について、都市計画の手続を通じて、地域の判断を反映した適切な立地を確保するとして、三つの用途地域や白地地域を大規模集客施設は原則として建築できない地域とするなどの改正をしています。
今回の改正案によって、大型店等の立地を原則建築禁止とする地域を拡大する方向は評価できます。しかし、準工業地域が原則として建築できない地域から外され、建築してはならない店舗等の規模を一万平米超としたことは、これまで多くの大型店等が準工業地域に出店し、規模も一万平米以下である実情から見て不十分です。また、新たな地区計画として開発整備促進区を設け、開発事業者等を都市計画の提案者に加えることは、大型店等の立地規制に対する抜け道となるおそれがあります。これでは地域の住民主体のまちづくりを進めることが徹底されません。
したがって、地域の判断を反映するという本法案の趣旨をさらに徹底するため、以下の修正を提案します。
第一に、一定の大規模な店舗等の立地が新たに制限される用途地域に準工業地域を追加します。
第二に、立地が新たに制限される大規模な店舗等の規模要件について、床面積一万平方メートルを超えるものを、三千平方メートルを超えるものに変更することとします。
第三に、一定の大規模な店舗等の立地が新たに制限される用途地域等において、用途を緩和する地区計画制度(開発整備促進区)を削除するものとします。
第四に、一定の開発事業者が都市計画の決定等について提案することができるよう、都市計画提案権者の範囲を拡大することを削除するものとします。
以上が、修正案の提案理由及びその概要です。」


「まちづくり3法の見直しについて」(5)〜都市計画法案の国会審議〜
都市計画法の改正案は、4月11日に衆議院で可決され、5月15日現在参議院で審議中となっています。前回も取り上げた準工業地域について衆議院国土交通委員会でも質疑が行われていまが、以下は4月5日の同委員会でのやり取りです。
「国交省は検討段階では、この準工業地域については大規模商業施設の立地についてはやはり禁止しよう、そういう方針だったやに聞くんですけれども」という質問に対して、国土交通省の都市・地域整備局長は、次のように答弁しています。
「準工業地域につきましては、そもそも住宅と工業等さまざまな多様な用途の混在を許容する地域でございます。実際にも、市街地中心部近くの住工混在したエリアで指定される例も多い用途地域でございます。こういうことによりまして、準工業地域については、都市計画上、建築基準法上、大規模集客施設の立地は制度として規制しないということにしました。
しかしながら、中心市街地の活性化という観点に絞って言えば、三大都市圏等の大都市部と地方都市とでは違うと思うんですよね。要するに、準工業地域に大規模集客施設が立地した場合の中心市街地への影響というのは、やはり相当違うんじゃないだろうかと考えておりまして、中心市街地活性化法の方の話になりますが、中心市街地活性化法に基づく基本計画を法律を通していただきましたらつくることになりますが、特に地方都市では、この準工業地域において特別用途地区を活用していただきまして、大規模集客施設の立地規制を行っていただこうと考えておりまして、これを中心市街地活性化法に基づく基本計画の大臣認定の要件とすることを予定いたしているところでございます。」
別の質問者は、この問題は、業界団体の強い意向に配慮した結果だと報道されていると述べています。


「まちづくり3法の見直しについて」(4)
国会へ提出中の法律改正案についてコメントした4回前のこのコラムで、大型店の立地の適正化に関して準工業地域の混乱に触れましたが、北海道が同様の問題意識をもってガイドラインの施行を準備しています。
「大規模集客施設の立地に関するガイドライン」(素案)を作成し、現在意見を募集中です。
コンパクトなまちづくりの観点から、都市機能の郊外への拡大抑制・市街地への集約と大規模集客施設による主体的な地域貢献の促進を目的としたものであり、内容は、第1章 策定の背景、第2章 策定の目的、第3章 市町村によるゾーニング等の活用、第4章 大規模集客施設の設置者による地域貢献、第5章 推進体制 となっています。
ようやく理念的に都市の「かたち」を議論する段階が近づいて来ているようです。


「まちづくり3法の見直しについて」(3)
先日来必要があって東京圏(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)の都市構造を調べていたのですが、統計資料を眺めているうちに、改めて1都3県に拡がった広大な連坦市街地の持つ地域特性を感じました。
人口規模3,450万人、DID面積3,300平方キロメートルと言うこの地域特性は、比較的まとまった圏域構造を持って完結する数10万〜100万人規模の地方中心都市とは大きく異なるもののようで、どうやら街づくりの方法論自体が全国一律でよいかどうかの問題もありそうです。
今回の改正法案は専ら周辺市街地と中心部というはっきりした構造を持っている地方中心都市を主な狙いとする対策ではないかと言う意見もあるようです。
このような大都市と地方都市との地域特性の違いを踏まえて意見具申を行っているのが東京商工会議所を始めとする大都市の商工会議所の基本的なスタンスのように見受けられます。


「まちづくり3法の見直しについて」(2)
都市計画法、中心市街地活性化法の改正法案の衆議院での審議は3月25日現在まだ始まってはいないようです。今回は中心市街地活性化法の改正法案についてです。
改正法案では、国による「選択と集中」の仕組みを導入することとされており、内閣総理大臣を本部長とする中心市街地活性化本部を設け、ここで内閣総理大臣が基本計画を認定するものとされています。
国が「選択と集中」の旗を振るのはよいとしても、せいぜいが例えばまだ震災復興から立ち直れないでいる近畿地方を重点的にテコ入れするとかその程度の国土政策レベルまでで十分ではないかと思います。
都市計画は自治事務として位置づけられている筈ですから、例えば基本計画策定済みの埼玉県宮代町(平17人口34,618人)、菖蒲町(21,419人)、千葉県九十九里町(19,012人)などが改定計画を作ったからといって内閣総理大臣が一々認定することもないような気がしますし、それによって地域に適合的な判断が出来るとも思われません。


「まちづくり3法の見直しについて」(1)
都市計画法、中心市街地活性化法の改正法案の内容が姿を表わしてきました。
論点はいくつもありますが、その1つとして大型店の郊外スプロールは抑えられるのかというのがあります。
立地規制の対象となる大規模集客施設は、床面積が1万平方メートル超の店舗、映画館、アミューズメント施設、展示場等となっていますが、一般的に店舗面積は床面積の6割程度ですから、店舗面積がおよそ6,000平方メートル以下の店舗には規制が及ばないことになります。どんな線引きにも伴う問題ですが、図でみると結構な割合になりそうです。



「都市の秩序ある整備を図るための都市計画法等の一部を改正する法律案」
政府は2月6日、いわゆるまちづくり三法〜都市計画法、中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法、大規模小売店舗立地法のうちの前2者について改正案を閣議決定し、いまの通常国会に提出することにしました。
都市計画法では、大規模集客施設(床面積が1万平方メートル超の店舗、映画館、アミューズメント施設、展示場等)の立地規制、新たな地区計画制度(開発整備促進区)の創設、開発許可制度の見直しによって病院、福祉施設、学校、庁舎等も許可の対象にすることなどが、また中心市街地活性化法では、法律の名称を「中心市街地の活性化に関する法律」と変更し、基本理念を創設し、国による「選択と集中」の仕組みを導入することなどが盛り込まれています。
分権化の中で地域がどんな仕組みで中心市街地を作るのか、大型店の郊外立地が本当に阻止できるのか、その場合の光と影、特に混乱が著しい準工業地域等での土地利用の整序化、活力がなくなっている商店街の今後など多くの課題がありますが、これからどんな展開を見せるのか注目していきたいと思います。          


「三鷹市特別商業活性化地区等に関する条例」
まちづくり三法の1つとして、都市計画法の特別用途地区は、大規模商業施設の立地誘導のためのゾーニング手法として活用されることが期待された所でしたが、余り実効が上がりませんでした。一方、別の役割を果たすような使い方も工夫されています。
「三鷹市特別商業活性化地区等に関する条例」(平成16年3月)もそのような中の1つと言えます。これは、特別用途地区として都市計画された地区に関して、その内容を条例として規定しているものです。
この条例では、特別商業活性化地区、特別都市型産業等育成地区、特別文教・研究地区の3つのタイプが設けられていますが、大規模商業施設に最も関係が深いのは商業地域等の賑わいの創出を図るために創設された特別商業活性化地区のうちの第1種地区です。この地区では、商業地域の指定容積率500%、600%の区域で、容積率400%を超える建築を対象として、400%を超える床面積の1/2以上に店舗・事務所、ホテル・遊戯施設等、公共施設・病院・学校等、工場・倉庫等、その他を併設する、また個室付き浴場等の風俗施設は制限すると言うものです。
この地区は、JR中央線三鷹駅の南口一帯を中心として指定されています。


「まちづくり三法見直しに関する最終取りまとめ」
自由民主党政務調査会・中心市街地再活性化調査会・まちづくり三法見直し検討ワーキングチームによる「まちづくり三法見直しに関する最終取りまとめ」が暮れの12月21日に公表されました。
この取りまとめの方向に沿って、次期通常国会に中心市街地活性化法と都市計画法の改正案を提出し、制度改正を行うものとして、具体の方向性について次の7点が挙げられています。
(1)基本理念の創設、責任体制の明確化、(2)ゾーニング強化と広域規制の導入、(3)農地関連規制の強化、(4)「商業空間」から「生活空間」としての中心市街地再生、(5)予算に関する「選択と集中」の強化、(6)税制等の支援措置、(7)地域における中心市街地活性化の推進。
現在のまちづくり三法では、ゾーニングは特別用途地区によることとされていましたが、殆ど活用されませんでしたし、一方、独自の条例によってゾーニングを行おうとする自治体が相当数現れてきています。
見直しは遅きに失した感は否めませんが、実効性のある制度設計が行われることを期待したいと思います。


「京都市土地利用の調整に係るまちづくり条例(平成12年5月)及び商業集積ガイドライン」
大規模商業施設の立地をコントロールするための先駆的な施策として広く知られているのが、京都市まちづくり条例及び商業集積ガイドラインです。
この施策は次のような構成になっています。商業集積ガイドラインによって集積の目標と内容が定められており、7種類のゾーンに区分しゾーン毎に商業集積の方向、店舗面積の上限の目安が示されており、まちづくり条例は、この商業集積ガイドラインをまちづくりの方針として位置づけ、この方針に基づいて開発事業が行われるようコントロールしようとするものです。
もともと、まちづくり3法がスタートした時、大規模商業施設のゾーニングは、都市計画法によるものとされていたのですが、目だった成果が見られないため自治体によるこのような施策がいくつも生まれて来ています。
このシステムの効果については、既成市街地内や郊外のロードサイドにおける5,000平方メートル程度の近隣中心機能を超える機能を有する小売店開発の抑制や、既成市街地縁辺部の工業系用途指定区域における3万平方メートルクラスの超大型の小売店開発の抑制に対し、効果を有しているが、全体としては必ずしも既成商業集積地に開発が集中的に誘導されているわけではないと指摘している論文があります。
* 姥浦道生 (日本都市計画学会論文集No39-3)


「福島県商業まちづくりの推進に関する条例」
最近、福島県が制定した「福島県商業まちづくりの推進に関する条例」が話題になっています。平成17年10月18日に公布され、平成18年10月1日から施行となるものです。
この条例は、コンパクトな街づくり、サスティナブルな街づくりを目指して、一定規模以上の店舗面積を持つ小売商業施設の立地を広域の見地から調整しようとするものです。
このために県では商業まちづくり基本方針を策定し、また、市町村でも商業まちづくり基本構想を策定することが出来るとされており、知事がこれらとの適合等を勘案して意見、勧告、工事着手の制限等を行うとするものです。
商業まちづくり基本方針や対象とする小売商業施設の規模については、これから策定し、公表されることになっていますが、その成り行きが注目されます。

二宮 公雄

二宮都市研究所
代表

1.住民によるまちづくりプラン
 ○津久井湖周辺地域まちづくり委員会
 ○写真集「わが町 中野」
 ○“ゆうきプラン”
 ○津久井湖周遊歩道計画

池田 利道

株式会社リダンプランニング
代表取締役

まちづくりビジネス・ファイル

1.中心市街地活性化を考えるもう一つの手法
(1) 商店街が元気を無くした15の要因
(2) キーワードは『コミュニティビジネス』
(3) 起業化へのソフトランディング

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